「手をついてから手首が痛いです!」という訴えで病院受診をする方が多いです(T_T)。高齢者でも多いですが、一定数子どもの受診もあるので外傷症例としては比較的多い骨折となります。今回は橈骨遠位端骨折についてつぶやいてみようと思います。
概要
前腕(肘と手首の間)の2つの長い骨のうちの1つで親指側にある骨を橈骨といいます。橈骨の体から離れた部位(手首付近)に生じる骨折を橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)と言います。この骨折は、高齢者や転倒事故に伴う怪我として頻繁に見られます。骨密度が低下する更年期では、骨粗鬆症と関連して発生することが多いです。当院でも比較的見かける骨折の一つです(;_;)
原因
橈骨遠位端骨折は、通常、転倒した際に手をついて体重を支えようとしたときに発生します。 これにより、手首に過剰な力が生じ、骨が折れることになります。このような状況ではリスクがございます。
- 転倒事故:歩いている途中でバランスを崩して手をつけた際に発生することが多いです。
- 交通事故:車やバイク、自転車の事故でも手首を守ろうとして骨折する場合があります。
- スポーツ事故: スキーやスノーボードなどのスポーツの中でもよく見られます。
症状
橈骨遠位端骨折の典型的な症状は以下の通りです。
- 手首の激しい痛み:手首を動かすことができず、触れると強い痛みを感じます(特に親指側)。
- 腫れとあざ(内出血): 手首が腫れ、青紫色のあざができることがあります。
- 変形: 骨がずれることで、手首の外観に異常が見られる場合があります。
- 可動域の制限:手や腕を動かすことが困難になります。
診断
診断は通常、患者の事故や転倒の状況に応じて、X線(レントゲン)、CT検査などの撮影によって行われます。レントゲンによって骨折の有無や程度、そしてズレの有無が確認されます。
治療
橈骨遠位端骨折の治療は、骨折の種類や程度、患者の年齢や活動性によって異なります。一般的には以下のような方法が用いられます。
- 徒手整復: 骨がズレている場合、医師が手術を行わずに手で骨を元の位置に戻し、ギプスやスプリント(シーネ)で固定する方法です。
- 保存療法:骨のズレが少ない場合、ギプスやスプリント(シーネ)で固定し、骨が自然になる治癒を待ちます。この間、痛み止めや冷却による対症療法が行われます。
- 手術:骨が大きくずれている場合や、骨が粉砕されている場合あるいは手術療法が保存療法より優位になると判断した場合には、金属プレートやスクリュー、ピンを使って骨を正しい位置に固定する手術が必要になる場合があります。
リハビリと予後
治療後のリハビリテーションも重要なプロセスです。 手首や腕の可動域を改善させ、日常生活に影響を少なくするようにリハビリを行います。 リハビリの内容は、骨折の程度や治療法、骨折部の状態になどによって異なります。通常、数週間から数か月かかることが多いです。
予防
橈骨遠位端骨折の予防には、転倒しないように注意をすることが重要です。 高齢者の場合は、ADL(Activities of Daily Living、日常生活動作)を維持し、転倒しないようにすることや転倒しやすい場所や状況に注意を払う、生活環境を整えることが重要です。また、骨粗鬆症などの骨を弱くする疾患の治療も重要と言えます。
結論
橈骨遠位端骨折は、高齢者に多い骨折の一つであり、転倒に注意が必要です。手を使えないことは日常生活に大きく不利となり、生活水準を低下させます。骨折しないことが何よりですが、骨折しても以前の生活に近い状態に戻れるように適切な治療介入が望ましいと考えます( ..)φメモメモ
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